タイの騒乱、まだまだ続きそうなので今までの経緯をまとめた番組を見て自分なりにまとめてみた。
Q.黄シャツと赤シャツって何?<黄色シャツ>
現政権を支持し、タクシンと敵対している派です。そして国王擁護を全面に打ち出しています。
タイでは曜日に色があり、国王が生まれた曜日の色が黄色ということで黄シャツを着ています。

<赤色シャツ>
それに対抗してタクシン派(UDD:反独裁民主戦線)は国旗にも使われていて国家や国民を意味する赤をシンボルにして赤いシャツを着ました。
Q.タクシンって誰?通信事業で財をなしたタイの元首相です。
タイではエリート層の都市部と貧困層の農村部で貧富の格差が大きいです。
そこで今まで政治からほとんど顧みられなかった東北や北の貧しい農民に優遇政策をしました。
Q.いいことしたんでは?やり方は金のばらまきに近かったようです。農村部の受けはいいですが、都市部からすればそんな偏った使い方よりもっと国全体を考えてお金を使うべきだと不満があがります。
そして地位を利用しての首相の脱税や親族などの不正蓄財が問題になりました。
Q.タクシンはどうなった?議会を解散、総選挙を行いました。
バラマキ政策で農民に支持されていたタクシン派が元々優勢だった上に、反タクシン派は選挙をボイコットしたため、タクシンが
圧勝します。
国内は混乱、タクシンが国連に出席している間に
軍部がクーデターを起こし、暫定政権を樹立後、また
選挙を実施しました。
Q.選挙結果は?またしても
タクシン派が圧勝。
困った
軍部は憲法裁判所に働きかけ、タクシン派の不正を追及し
首相を失脚させます。
そして
反タクシン派のアピシット首相が誕生します。
Q.タクシン派は反国王なの?違います。国王は絶大な人気があるので反国王という思想が支持されるとは思われないですし、そもそも国王不敬罪という法律が存在します。
タイでは国が混乱するたびに国王の一言で収まってきた経緯があります。
そしてタクシンは「憲法を超越した権力を持った人物が政治に混乱を引き起こしている」と発言しました。
反タクシン派はこの国王批判ともとれる発言を利用し、国王を批判するタクシンはけしからん、自分たちは(国民から絶大な人気がある)国王を支持するぞ、ということをアピールしているだけです。
Q.タイはどうなるの?高齢の国王の健康状態もおもわしくなく騒乱は続きそうです。
今までタイは支配層とその他の各階層の格差を受け入れてきました。しかしタクシン時代に権利というものを理解し政治に目覚めた貧困層の動きは止まりません。政財界、国軍、官僚などタイを牛耳ってきた旧来からの支配層にはそれが脅威と映ります。両者はこれからも対立しそうです。
しかしながら、デモには日当をもらう目的のために参加している農民達も多いと言われています。自らの既得権益を守る集団VS自らの利益を追求する集団の争いに国民全体は冷めているようで大きなうねりにはなっていません。
今まで国王に頼り切っていた印象があるタイの民主主義。混乱を収束する術を自ら見つけ出すのには相当な時間がかかりそうです。
参考
池上彰の学べるニュース テレビ朝日 2010/04/28
ワールドビュー 読売新聞 国際面 2010/05/02