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映画「チャイナシンドローム」の背景-原発の仕組みとスリーマイル島原発事故

映画「チャイナシンドローム」の背景
―原発の仕組みとスリーマイル島原発事故―


チャイナシンドローム1

この映画、東日本大震災で起ったフクシマ原発事故の前に観るのと後に観るのとでは、印象が全く違うでしょう。
福島原発事故以前の場合では「社会派パニックサスペンス映画」の佳作ぐらいの印象でしょうが、後者の福島原発事故を目の当たりにした後では 「30年も前にこんな予言の映画が作られていたとは!」と驚きの印象を持つことでしょう。

スポンサーに配慮してニュースをもみ消そうとするマスコミ幹部と関係者。これはフクシマの事(東電・関係企業・官僚組織・広告代理店・マスコミなどの癒着)を描いているのか!とさえ思ってしまいます。

チャイナシンドローム2 チャイナシンドローム3

<あらすじ>
原子力発電所を取材していた女性リポーター(キンバリー・ウェルズ=ジェーン・フォンダ)とフリーカメラマン(リチャード・アダムス=マイケル・ダグラス)は、 原発の緊迫した状況に遭遇する。

”緊迫した状況”
原発施設のトラブルにより冷却水の水位が上昇。このままでは水があふれ出してしまうと責任者(ジャック・コデル=ジャック・レモン)は排水を指示。 しかし、水位が上昇しているとの表示は計器の故障による誤表示だった。実際には水位は下がっていたのだ。
あわてて注水を開始し難を免れるも、それはチャイナシンドローム一歩手前の危機的状況だった。

この一部始終をカメラに収めていたキンバリーとリチャードは、何が起こったのかは分らないが重大な事故だったに違いないと考える。会社に戻り、特ダネとして放送しようとするが幹部はこれを拒否。 リチャードは反発し独自に取材を始める。


<チャイナシンドローム>
直訳すると中国症候群。
原子炉のウラン燃料棒が高温でドロドロになり、原子炉容器を溶かして地表へ落ちる。さらに地表も溶かして地中深く沈んでいく。最後にはアメリカから地球の反対側の中国へ到達してしまう。
という原子力関係者の間で言われていたブラックジョーク。
それを題名にしたのがこの映画。


チャイナシンドローム4 チャイナシンドローム5

ただ、映画内では原発の仕組みについての詳細が丁寧に解説されているわけでもないので、ちょっとストーリーがつかみにくいのも事実。

チャイナシンドローム6



そこで、原子力発電所の基本点な仕組みを3つのキーワードで押さえてみます。
福島原子炉

<発電の仕組み>
ウラン燃料棒の核分裂で生じた熱で水を蒸発させ、その蒸気の勢いでタービンを回し発電する。

<循環ポンプの役目>
蒸気を発生させるための水を送り、燃料棒を冷やすための冷却水を循環させる。

<制御棒の意味>
ウランの燃料棒は原子核が核分裂する際に中性子を飛ばす。 飛んだ中性子が別のウランにぶつかると、そのウランが核分裂を起こしまた中性子を飛ばす。飛んだ中性子がさらに別のウランに、、。 これが続くとウラン燃料棒がどんどん高温になっていく。そういった核分裂の暴走を防ぐために、中性子を吸収し核分裂の連鎖を抑制するのが制御棒の役目。


原発で一番怖いのは、ウラン燃料棒が核暴走を起こし高温で溶けてしまうこと。
燃料棒が高温になりすぎて原子炉を突き抜けるメルトダウン(炉心融解)を起こすと、有害な放射性物質が外部に拡散されてしまう。

それを避けるためには、
●冷却水をポンプで循環させ、燃料棒が高温になるのを防ぐ。
●制御棒で燃料棒の核分裂を抑制させる。
ことが重要になります。



フクシマ原発事故
ちなみに、フクシマ原発事故は、
地震により停電。冷却水の循環ポンプが止まるが予備の自家発電装置が起動。
通常ならこれで事態は収束したはずなんですが、地震のあと津波が発生。
その津波により予備の自家発電装置も故障。循環ポンプが停止しメルトダウンを起こす。
という経緯でした。



映画「チャイナシンドローム」は当時、社会現象になりました。それは映画公開直後にアメリカで原発事故が実際に発生したことも大きな原因です。
スリーマイル島原発事故

<映画公開直後にスリーマイル島で原発事故>
1979年、アメリカ・ペンシルバニア州のスリーマイル島の原子力発電所で事故が起こった(チェルノブイリ原発事故の7年前)。

<スリーマイル島>
サスケハナ川という川の中州の島。周囲の大きさが3マイルだったのでスリーマイル島と呼ばれる。 1マイルは約1.6km、なので3マイルは約4.8kim。

<スリーマイル島の原発事故>
小さな電力会社が経営しており、資金も足りなく少しくらいの故障はほったらかしにして運転を続けていた。
そんな中、原発運転員による操作ミスにより、冷却水の弁が開きっぱなしになっていた。
冷却水が失われているので緊急に大量の水が注入されるが、運転員は弁が開いたままで水が大量に漏れている状態に気付かず(計器類にも表示されず)、 このままだと水があふれ出してしまうと思い水の注入を止めてしまう。
冷却水が減り、燃料棒が高温になり、放射能漏れが起きた。住民はパニックに。

<大パニック>
ペンシルバニアの片田舎では、マスコミも行政も原子力に対する化学的知識を持った人がいなかった。
そのため、とてつもない放射能漏れが起きたかのような報道がされ、行政もよく分からないまま念のために5マイル(約8km)以内の妊婦や子どもに避難勧告を出した。
そのとたん、大人も含め周辺の住民10万人が車に乗って逃げ出そうとして大パニックになった。
「チャイナシンドローム」が現実味を帯びてきたのだ。

実際には、事故直後にかけつけた運転員により事態は収束。 ごくわずかな放射能漏れで周辺の住民は被曝することはなかったのだが、結果的に大混乱を引き起こした事故ということになった。



映画「チャイナシンドローム」は、以上の背景を踏まえて観ると理解度が進むのではないかと。
そして映画に描かれている一つ一つのシーンやセリフは、これからの原発や人災に対する課題点を考えるきっかけにもなるのではと思います。




チャイナ・シンドローム コレクターズ・エディション [DVD]
監督:ジェームス・ブリッジス 制作:マイケルダグラス 1979年アメリカ
出演:ジェーン・フォンダ、ジャック・レモン、マイケル・ダグラス



<関連サイト>
池上彰の現代史講義・第1回まとめ


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